芳賀矢一・杉谷代水合編「書翰文講話及び文範」より









  国文学者芳賀矢一(日本で最初の類義語辞典を編纂した)と、文学者杉谷代水(だいすい)の合編である、「書翰文講話及び文範」は、大正2年に冨山房より初 版が出版された手紙文範集である。現在市販されているような、誰が書いたかわからないような実用書的で適当な手紙文例集とは違い、候文の文例を中心とした 格調の高い文例集であり、そのうち上巻は、手紙の書き方に関する古今東西の決まり事を説明した貴重な資料でもある。エッセイストの山本夏彦氏によれば、作 家の中野重治氏は、獄中でこの本に出会い、その内容について激賞しているとのことだ。(参照: 文藝春秋社 文春新書 山本夏彦著 「誰か『戦前』を知ら ないか 夏彦迷惑問答」など)

  本ページでは、その下巻の手紙文例集の中から、私が面白いと思うものを適宜テキスト化し、ご紹介したい。(漢字は適宜新漢字に直した。)芳賀矢一・杉谷代 水とも没後50年が過ぎており、著作権は切れている。また、出版元の冨山房にも一度確認し、自由に使って良いという口頭の許可をもらっている。私の希望 は、このページを見て興味をもたれた出版社の方が、同書を復刻してくれることである。(同じ合編者による、「作文講話及び文範」は、現在講談社学術文庫に て復刻されている。)

 



                 
文例集サンプル

 
(十八)論告 遊惰に 流れんとする学生に(保証人より)

上の手紙に対する返事

(二三)雑信 死に臨んで故国 の愛子に送る/横川省三

(十七)謝罪 酒の上の乱暴を 謝す

(十八)論告 西郷隆盛に與へて降服 を勧む/山縣有朋

上巻 第十一講 手紙の礼法、 より 「殿と樣」


 
 
 


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