愛のテンジャンチゲ編
 

 
 
 
 

 テンジャンチゲは「愛」です。キムチと並んで韓国でもっともありふれた料理で、いわば韓国版「おふくろの味」、あるいは「愛妻の味」なんじゃないでしょうか。つまり、外で食べるようなものなのじゃないのかもしれません。イタリアではペペロンチーノをレストランで食べる人はいない、と聞きましたがそれと同じでしょう。そうはいっても、このテンジャンチゲにご飯を入れて食べるのは最高で、何度食べても飽きません。なんのことはない、韓国の味噌汁ですが、辛いというだけでなく、似ているようで日本の味噌汁とはかなり違います。

 今回は、2日目の朝、特に場所は決めずに朝食を取る店を求めてぶらぶらと乙支路3街の地下鉄駅の方へ歩いている時、ふと見つけた食堂街らしき裏通り。そこで偶然目に入った民芸風の店に飛び込んでみました。アガシ(アジュマといった方が正確か)が、「テンジャンチゲとスンドゥプがどうのこうの」と言っています。まだ朝だったので、メニューは結局そのテンジャンチゲだけでした。でもこれさえあれば大丈夫。出てきた定食は下の写真の通りです。


 

 
 
 このテンジャンチゲ、見た目はよくありませんが、味は絶品でした。同行者も異議なしの今回のNo.1。カルビレストランなんかで出てくるものより、はるかに具たくさんで、サザエまで入っていました。付け合わせのナムルもスンドゥプ(豆腐)もいい味でした。店の名前は、「プマシ」です。後で辞書で調べたら、「農村での相互扶助の仕組み」とありました。日本で講とか惣とかの言葉にあたるものでしょうか。民俗実質料理と看板にありました。その通りの味でした。

 日本に帰ってからも、テンジャンチゲ中毒と化した私は、ついに韓国で買ってきたコチュジャンを使って、テンジャンチゲの自作に挑戦しました! 材料はありあわせのものをスーパーで買ってきて(大根、アサリ、豆腐、長芋、ネギ、シイタケ)、煮干し(イリコ)でダシを取って、コチュジャンをぶち込みます。少しずつ入れても味が薄く、結局それなりの濃さにするには、250gも使ってしまいました。それでも出来上がったものは塩味が薄いので、塩を小さじ2杯ほど足しました。(全体の量は鍋一杯で4人分くらいあります。)できあがったものが、下の写真です。


 
 

 
 
 見た目はそれなりに近いものができました。しかし、お味の方は悪くはありませんが、深みがありません。韓国のスーパーには、コチュジャンだけでなく、そのものずばりのテンジャンも売っていましたが、もしかしたら味噌はこちらを使って、辛みは唐辛子で補うのか。あるいは合わせ味噌でテンジャンとコチュジャンを混ぜるのか?それともやはり「愛」が足らないのか...(作ってくれる方、募集します...(^_^;))
 

[追記]
Webを検索したらレシピがありました。
テンジャン3+コチュジャン1の合わせ味噌にし、なおかつ青唐辛子を入れて煮るのが文字通り「ミソ」のようです。

[追記2]
次の日に、テンジャンの代わりに信州赤味噌を加えたら、激ウマに変身しました!
テンジャンは、日本の味噌より塩気が強いので、信州赤味噌が近いように思います。名古屋の八丁味噌もばっちりだと思います。

[追記3]
東京出張のついでに、新大久保の「ハレルヤ食堂」でテンジャンを仕入れてきました。これをコチュジャンと合わせて使ってみて、今度こそ本物のテンジャンチゲができました。

[追記4]
本物のテンジャンチゲにライスを入れて食べていると、なにやらデジャブ感が...
「スパイシーな味」「どろっとした汁にからむライス」「スプーンで食べる」...よく考えたらカレーライスそのものではないですか!
発見: テンジャンチゲライスは韓国式カレーライス
韓国であまりカレー屋さんみかけないのは、こういうわけだったのですね。
(森枝卓士さんいかがでしょう?)

大塚さんあたり、テンジャンチゲをレトルトにして、「ハングルカレー」と名付けて発売しませんか? 景品にワールドカップの韓国観戦チケットつけて、CMはS.E.S.あたり使って... (本当にやるならアイデア料くださいね。)

[追記5; 2000-05-04]
李 盛雨 著  「韓国料理文化史」
鄭 大聲、 佐々木直子 訳
平凡社 ISBN4-582-43111-9
という本を買ったら、その中に、
「外国人はおいしい韓国料理として焼肉、冷麺、神仙炉、キムチなどをあげる。しかし、韓国人自身が韓国料理の味の神髄をあげるならば、郷愁ただようテンジャンチゲを入れないわけがない。」
とありました。まさに同感です!!
 
 

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